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音泉室内合奏団の食卓

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2013年 01月 09日

4分の2拍子

シンフォニーの4楽章が4分の2拍子で書かれていることについて、練習では触れられていない。
監督としては他に伝えるべきことが沢山あるのだから仕方がない。
また、このことについて簡略化して伝えてしまうと、必ず間違いが生じる。
だから、触れられていないのだと思う。
誤解されやすいのだ。

でも、とても大事なことではある。
例えば、2分の2拍子で書かなかったのは何故か。
書法の問題もあるが、2分の2は、要するに「気分」ではないのだ。
ここで「気分」等と書くから誤解が生じる。
しかし、まさに気分なのだ。
例えば「速さ」で考える。
我々のリハでの演奏を「速さ」の側面で捉えるならば、これは2分の2拍子で書かれている音楽になる。「速さ」で言えば、我々の演奏は充分に「遅い」からだ。しかも、「背負っている」。
1拍1拍に内包する重みがある。さらに言えば、1拍目が長過ぎて2泊目が短い上に、2泊目が重い。これで♩=144位でやっているのだから、新参兵の連帯が重装備で「早足」しているようなものだ。これは2分の2拍子の音楽である。
監督の言うようにアレグロ ヴィヴァーチェは必ずしも速さを強調する為の速度記号ではない。
「陽気に、快活に」せめて「快速に、快活に」程度である。
だから、そもそも、「速さ」はこの楽章を演奏する上での課題ではないのだ。
4分の2拍子はもっと自由な拍である。
2分の2拍子でアレグロ ヴィヴァーチェならば何かを背負いつつ突き進むイメージであるが、4分の2拍子は何かを拭い去ってでも突き進むイメージである。
嘗ての「巨匠」が演奏したようにゆっくりしたテンポから急速なテンポへ劇的な変化を生じさせることは、現代の感覚からすると少々変なのだが、かと言って、当時の大袈裟な演奏の一つと決めつけられる程軽薄なものでもない。4分の2拍子であることの自由度は相当なものなのだ。
なぜなら、当然のことながら1小節1拍子の4小節が楽節としての最小単位であるから、それを2拍子と捉えれば、「速さ」の変化は実はそんなには大きくないのだ。

でも、我々は4分の2拍子でやろう。そう書いてあるのだから。
4分の2拍子のアレグロヴィバーチェで演奏しよう。
陽気に、軽やかに、快活に。それは「速さ」ではない。
何かを背負い込むことでもない。拭い去ることで得られる快活さなのだ。

by bassbassbassyy | 2013-01-09 23:28


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