音泉室内合奏団の食卓

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2011年 02月 16日

誉めて生じること

子供を育てていると、難しいと思うのが誉めることである。なので、難しく考えないために、誉めたいと思った時に誉めることにしている。でも、要注意なのがその他の兄弟である。とある状況で、弟を誉めたとき、それを見ていたお兄ちゃんがどう思うか、これには少し配慮がいる。

以前、秋の本番を翌週に控えた、とあるオケのリハに参加した時のことである。
中々思うようにならずも、少しは集中して一定の成果を見せた前半練習後の中休憩時間に、指揮台に上がった中年の団長さんが、事務連絡かと思いきや、いきなりセカンドヴァイオリンの若い女の子を誉め出した。その子は社会人2年目の公務員さんで大学生になってからヴァイオリンを始めたとのことだから、まだ楽器を持って6年。オケで弾くには充分なテクニック等持ち合わせていない。それが、とても良く練習していて上手になった、と、言うのである。目立たない子で、セカンドヴァイオリンのいつも後ろの方で弾いているから、目の悪い私には顔も良くわからない。私は耳もあまり良い方ではないので、どのぐらい上手くなったのかまるでわからないのだが、ともかく上手になったと言う。
さすが、団長さん、良く団員さんのことを見ているものだ、と感心した。
いつも、眠い目を擦ってリハに望んでいるどこぞの団長とはえらい違いである。

でも、その後が良くなかった。

彼女は仕事が終わってから毎日2〜3時間も自主練習して頑張っている。だから上手になったのだ。と団長さんは言う。確かにそれだけ頑張れば上手くなるだろう。これは良い。
みんなも、頑張って練習すれば上手くなるのだから、ちゃんと自主練習をしなさい。と団長さんは言った。これがまずかった。
ああ、これはちょっと配慮がないかな?と、思ったら、案の定、後半練習のみなさんのモチベーションは下がりっぱなしで、だらしのない練習になってしまった。田舎のオケで、団員の皆さんは純朴素朴な方が多く、それだけに団長の言葉が痛かったようだ。

全く、同じようなことが、この間、あるオケのリハで起こった。同じ結末に至った。
どこでも、いつでも同じようなことが起こるものである。

頑張って沢山練習をして上手になった方の努力はとても尊い。
それは間違っていない。
もし、これを、それなりの年齢から初めて、それなりの練習量で、それなりの努力で、それなりの先生について、それなりに勉強もして、まあ、他にも色々あるだろうけれど、頑張ると、プロになれるかも知れない。
でも、市民オケの団員は違う。
たまたま、時間が取れて、先生にもレッスン受けて、一生懸命練習した。けれど、上手く弾けない人が稀にいる。何がいけないのか、くよくよと思い悩んで、寸暇を惜しんで練習する。でも上手くならない。
もう少し多くの人は、たまたま、時間が取れて、練習するけど、先生に見てもらえず、独自の効率の悪い練習しか出来ず、上手くならない。
もっと、多くの人は、時間がなくて、それでも、何とか時間を見つけて、効率の悪い自己流の練習をして上手くならない。
そして、大部分の人は、本当に仕事に忙殺され、生活に謀殺され、疲弊したところで時間もなく、毎週のオケの練習時間が自分の楽器の練習時間だったりする。当然、上手に弾けるようになどなるわけがない。でも、音楽がやりたくて市民オケに所属して、本当にぎりぎりなんとか、オケに来る時間を作ってやってくるのである。定時に帰り上司に睨まれ、遅くに帰宅し奥さんに睨まれ、若しくは夕食を作らず子供にぶつくさ言われ、あちこちに迷惑をかけて、ぺこぺこ頭下げてやってくるのが、多くの市民オケの団員なのだ。練習して上手くなれ、と言われても練習することが出来ないのである。
それを、たまたま、時間を作ることが出来て充分に練習出来た人と比べられて、同じようにやれ、と言われれば、気持が萎えるのは当たり前である。個人練習の出来ない自分はここにいてはいけないのか?と思ったりもする。
音楽家であるマエストロやトレーナーに言われるのなら仕方ない。しかし同じ団員でもあるはずの団長から言われてしまっては、立つ瀬がなくなってしまうのである。
では、市民オケは上手くならないのか?そんなことはない。音楽はテクニックも大事だが、知っていることも大事なのである。音楽を知っている、こと、である。リハのマエストロはテクニックについても語るが、殆どは音楽の知って欲しいところを語っているのである。これが伝わらなければオケは駄目なのだ。
まあ、でも、これは、実は結構どこにでもある話しなのかも知れない。

さて、誉めることで生じるのはこれだけではない。
むしろ、こっちが原則である。
誉めた側に虚栄心があると、これは少しもののわかった人には瞬時にバレてしまう。そしてシラケる。誉められた本人がもののわかった人ならば、馬鹿にされたと思うだろう。
ところが、誉めた本人は、以外とそこに気が付かないのである。だから、必ず繰り返す。
誰かを誉めて、その人の周囲の人々のモチベーションまで高めるには、まず、誉める人間が虚心坦懐でなくてはならない。

私はなかなかその境地に達しないので、人前で誰かを誉めることがそうそう出来ない。

誉めて生じる「+」はあるけれど、きちんと考えてしたいですね。良い勉強になりました。
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by bassbassbassyy | 2011-02-16 23:36 | 音楽